NVIDIA、AIエージェントを活用したOmniverseシミュレーション構築事例を公開
NVIDIAは、最先端のAIエージェントとOmniverseライブラリを組み合わせて物理ベースのシミュレーションを構築・検証する一連の開発プロジェクトを紹介した。
ひとことで言うと
NVIDIAはAIエージェントとOmniverseシミュレーションツールの活用について何を発表したのか。
NVIDIAはブログ記事で、社内各チームの開発者がAstraやClaude Fable 5といった最先端のAIエージェントをNVIDIA Omniverseライブラリと組み合わせて使用し、倉庫自動化、ガスタービン試験、ロボット訓練、自律走行ワークフロー、ブラウザ上で動作する国際宇宙station模型など、幅広いシミュレーションアプリケーションを構築した事例を紹介した。
要点
- NVIDIAは、最先端のAIエージェントとNVIDIA Omniverseライブラリを組み合わせてシミュレーションアプリケーションを構築する、社内および開発者コミュニティによる一連のプロジェクトを紹介した。
- 紹介されたプロジェクトには、現地スキャンから倉庫建物を再構築する取り組み、ガスタービンのWhat-if分析ツール、2,000点以上のライブラリアセットを備えたSimReady対応のキッチンシーン、そしてコンベア80台・アーム40台・箱800個を用いて毎秒30フレームを維持したという倉庫シミュレーションが含まれる。
- NVIDIAによると、開発者らはAIエージェントを用いて電子機器組立向けの柔軟なケーブル配線の検証、ロボットCADモデルのSimReadyアセットへの変換、一人称・三人称視点を備えたヒューマノイド型倉庫シミュレーターの構築も行った。
- 自律走行プロジェクト「Zero to Alpamayo」では再利用可能なサンフランシスコ市街のシミュレーションが構築され、別のセンサー検証プロジェクトではAstraとClaude Fable 5のエージェントを用いて、シミュレーション上と実測のカメラ・LiDARデータを比較し、デジタルツインの精度向上に取り組んだ。
- 「Robo Olympics」と呼ばれるプロジェクトでは、シミュレーション上のUnitree G1ヒューマノイドロボットが100回の試行中64回ハードルを乗り越え、開発者はその結果をロボットの動作タイミングと制御の改良に活用したという。
NVIDIA、AIエージェントとOmniverseを組み合わせた開発プロジェクトを紹介
NVIDIAはブログ記事で、社内各チームの開発者がAstraやClaude Fable 5をはじめとする最先端のAIエージェントとNVIDIA Omniverseライブラリを併用し、物理ベースのシミュレーションを構築・検証した一連のプロジェクトを公開した。同社によると、開発者は自然言語による指示でエージェントを操作し、出力結果を確認しながらさらなる修正を加えていく一方、Omniverseライブラリは物理演算、レンダリング、センサーシミュレーションをGPUで高速処理する役割を担う。
倉庫・産業分野の事例
NVIDIAによれば、シミュレーション技術チームのDavid Wehr氏はAstraを用い、パノラマ写真と点群計測データから建物を再構築し、物理的な変更に先立って倉庫レイアウトを評価できる、編集可能でシミュレーション対応のモデルを作成した。別のプロジェクトでは、Omniverse開発者リレーションズチームのPradeep Kaushik氏がAstraに指示を出し、CanteraやSciPyなどのツールを用いてシミュレーション上のガスタービンと発電機を対象とした「What-if分析」アプリケーションを構築。負荷変動、燃料バルブの固着、排気センサーの異常といったシナリオを含む6種類の試験手順を用意した。
またNVIDIAは、プリンシパルエンジニアのBhavik Sanganee氏が大規模運用時の性能検証のために構築した倉庫シミュレーションについても説明している。同社によると、コンベア80台、アーム40台、箱800個を用いた2分間のテストでは、フルHD解像度で毎秒30フレームを維持し、640回の箱の積み付けに成功したが、シーンの規模をさらに倍増させると性能が低下し、検証の結果、原因は物理演算とロボット制御のパイプラインにあることが判明したという。
ロボティクスとアセット作成のプロジェクト
NVIDIAによると、同社のOmniverseドキュメンテーションチームのPaul Kind氏はAIエージェントを用いて、2,000点を超えるシミュレーション対応USDアセットを提供するという「SimReady Central Library」からキッチンのシーンを組み立てた。63種類のライブラリアセットから180件の配置を行い、さらに18点のカスタムジオメトリを組み合わせたという。
NVIDIAが紹介するその他のプロジェクトには、ロボティクス技術マーケティングマネージャーのOyindamola Omotuyi氏がIsaac LabとNewton物理エンジンを用いて構築した、電子機器組立における柔軟なケーブル配線のロボットシミュレーション、ABB RoboticsのYuMiのCADモデルをSimReadyアセットへ変換したプロジェクト(同社によれば、シミュレーション試験でキューブのピック&プレースを4サイクル完了したという)、そしてOmniverseプロダクトマネージャーのFrank DeLise氏が構築した、一人称・三人称視点を備えたヒューマノイド型倉庫シミュレーターが含まれる。
自律走行とセンサー検証
NVIDIAによると、Doyub Kim氏はサンフランシスコのマーケットストリートをモデルにした再利用可能なシミュレーション環境「Zero to Alpamayo」を構築し、シーン、センサー、走行モデルの変更が自律走行車のシミュレーション結果にどのように影響するかを検証するとともに、天候や照明条件を変化させた別の実験も実施した。別のプロジェクトでは、Ashley Reid氏がAstraとClaude Fable 5のエージェントを約3日間操作し、シミュレーション上のカメラおよびLiDAR出力を実測データと比較。ゼロから2つのデジタルツインを新規作成し、計測との差異に基づいて既存の2つのデジタルツインを改良した。
さらにNVIDIAは、Tae Kim氏が主導する「Robo Olympics」と呼ばれるプロジェクトについても紹介している。シミュレーション上のUnitree G1ヒューマノイドロボットが、100回の試行中64回、ハードル1本を乗り越えることに成功したという。これに加え、自動車のサスペンションを対象としたロボットによる分解試験や、NASAのアセットとOmniverseのレンダリングツールを用いてブラウザ上で閲覧できるよう構築された国際宇宙station模型も取り上げられている。
出典:NVIDIA Blog「Into the Omniverse: How Developers Turn Ideas Into Simulations With Frontier AI Agents」(2026年10月29日公開)
よくある質問
- これらのプロジェクトで開発者はどのようなツールを使用したのか。
- NVIDIAによると、開発者はAstraやClaude Fable 5といった最先端のAIエージェントを、レンダリング用のovrtx、シーン更新用のovstage、物理演算用のovphysx、インターフェース用のovuiなどのNVIDIA Omniverseライブラリ、さらにモデル保存用のOpenUSDと組み合わせて使用した。
- SimReady Central Libraryとは何か。
- NVIDIAによると、GTCベルリンで発表されたSimReady Central Libraryは、設備メーカーやアセットプロバイダーが提供する2,000点以上のシミュレーション対応USDアセットへのアクセスを開発者に提供し、ロボティクスシミュレーションやAIファクトリーのデジタルツインワークフローに活用できるという。
- 倉庫のストレステストではどのような結果が得られたのか。
- NVIDIAによると、コンベア80台、アーム40台、箱800個を用いた倉庫シミュレーションは、2分間のテストでフルHD解像度にて毎秒30フレームを維持し、アームは640回の箱の積み付けに成功したが、シーンをさらに倍増させると性能が再び低下したという。
- 自律走行プロジェクトでは何が検証されたのか。
- NVIDIAによると、シミュレーション技術チームのマネージャーがAstraに指示を出し、サンフランシスコのマーケットストリートをモデルにした再利用可能なシミュレーション環境「Zero to Alpamayo」を構築し、シーン、センサー、走行モデルの変更が自律走行車のシミュレーション結果にどのように影響するかを検証した。